Project Name
One year Project
- Timeline
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2017-2018
- Location
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福島県耶麻郡
- Project Type
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別荘
- Status
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Completed
自然に寄り添い、1年という時間をかけたプロジェクト
「One year project」は、木の伐倒から製材、加工、組立までに1 年という時間をかけて「時を刻む」プロジェクトであることから名付けられた。効率化が何より優先される現代社会だが、本来、家づくりは自然との対話の中でゆっくりと進められてきたはずだ。木の力を最大限に引き出すために伐倒は寒中期に行い、その後製材された木材は半年~ 3 年ほどかけて乾燥させる。樹齢80 ~ 90 年、直径40㎝前後の材を丸太に合わせたサイズで木割することで、木の持ち味や表情を生かす。規格や効率化に無理に合 わせない施工は、木を余すところなく使い切ることも可能にした。
磐梯山のふもとに位置するこの地域は、特別豪雪地域に指定されている。厳冬期の積雪量は 1,200mm以上と想定し、高床式で建物を雪から守ることから計画を始めた。基礎束石に磐梯火山岩を用い、積雪の上に建屋を位置づけるべく高床形式を採用。基礎束石は天然岩のためその大きさはまちまちであり、そのかたち、高さは石次第である。時に一方的に線を描き設計している錯覚にとらわれるが、本来は、石、木といった材、気候を含めた地、自らを取り巻く外の次第に、構築する側がそれと向き合い、語らうのが建築であったと再認識する。
普段は都会で暮らす家族の別荘であることから、自然環境の厳しささえも五感で楽しめるよう水回りとリビングの機能を分け、あえて 2 棟間を橋で渡る構成としている。
樹齢 80 年、直径 40 cm前後の木 120 本を木本来の持ち味を生かして使う。無理に規格のサイズで加工するのではなく丸太に合わせたサイズで木割することにより、木の表情がひとつひとつ生きてくる。
何事にもスピードが優先される現代社会の中、「One year project」の施工は自然の時間軸に任せてもよいのではないだろうかと考えたことからこのプロジェクトが始まった。
引き渡しが完成ではなく、そこから次なる世代がまた木を材料として使えるよう、使った分の木を植樹し、敷地には同じ種類の木を植え、森を循環させる。自然環境の中から資源を「借りる」という発想である。次世代のへのバトンを繋ぐために苗木から少しずつ成長する木の生き様は、時代に囚われることなく、これからも人と 共に時を刻んでいくだろう。