About Thinking

ADX CEO / Wood Creator 安齋 好太郎の思考を、現在進行形で綴ります。森への想い、未来のプロジェクトへのヒント、ADXのまわりで起こった日常のエピソードなど幅広いテーマで更新中です。

  • 小さい地球のような建築

    小さい頃に憧れた「ISS(国際宇宙ステーション)」は、今もとても好きな建築。

    物資はもちろん、地球から運び出したものだけど、水も電気も空気もない宇宙で、自給自足している。

    建築はもともと、人を、寒さや外敵から守ってくれる装置だった。
    安全から始まったその役割は快適や、単なる金儲けにも変わってきている。

    未知なる場所に、安全に滞在できる生命維持装置。
    自給自足を可能にする小さい地球のようなISSは、人類が作り出した最先端のテクノロジー建築だと思う。

  • 「知識」と「知恵」

    昔から勉強があまり得意ではなく、知識を増やすよりも、知恵を絞るほうが好きだ。
    もちろん知識も必要だが、使えない知識ならいらない。

    何かをつくり出すには、知識を引き出す知恵が必要なのだ。

  • 100年先の未来

    未来について話す時、どのくらい先の、未来の話をする?

    明日? 1週間? 半年先? 1年先?

    僕は100年先の話をします。
    それは木がちょうどいい大きさに育つ時間だから。

    目下の課題は「100年先の森をつくること」。
    森は100年かけないとつくれない。
    自分がいない未来のことも、ちゃんと考えておく。

  • 紫陽花

    紫陽花は、土が酸性かアルカリ性かで花の色が決まるという。
    綺麗な紫陽花だと思って植え付けても、そうでもなかったり、反対に、植えてみたら思いがけず綺麗だったということもある。

    僕は、その「土」のような人になりたい。
    僕は、周りをどんな色にできるだろうか?

  • 山の景色

    山では信じがたいほど美しい景色に出会うことがある。
    そんな時、「このまましばらくここに留まろう」とか「時間が止まってほしい」とさえ思う。

    しかし、雲は流れ、日はかげり、冷たい風も吹く。
    絵画のように完璧だった景色も、気がつけば移ろっている。

    山の景色は感動を与えてくれながら、自然の厳しさを教えてくれる。
    山はそんなに甘えさせてくれない。

    それが、僕がいつまでも登山に夢中になる理由だと思う。

  • 主役

    建築をつくる時に考えることは建築が主役にならないこと。
    これはデザインだけの話ではない。材料もそうだ。

    自然の中に建築をつくる。
    できるだけその生態系に存在する材料で。
    そして、使った量の材料を育てる。

    吹いている風や流れる雨水も大切な資源で、建築はそれを分断してはいけない。
    建築を主役にするから分断してしまう。

    次世代に資源を残す。
    資源として残すか、ゴミとして残すか。

    未来に何を残すか?

  • ルート

    山頂を目指すことだけが山登りではないとよく言われるが、仮に山頂を一つのゴールとすれば、どの山にも、そのゴールに向けていくつもの登り方、アプローチがある。

    用途に合わせてバックパックに詰めるものを選ぶ。
    天気予報を見て、風と雨の行方を知る。そして、ルートを自分で決める。

    どの季節にどんな景色を見ながら、誰と登るか。
    気分に合わせて、自由に特別な時間をデザインできる。

    起こりうる未来を想像して準備をする過程から、平和な都市生活の中でぼんやりしている「本能」が呼び覚まされる。

  • 無駄

    合理的に考えれば建築は四角いほうが効率はいいが、空間に無駄をつくる。

    SANU CABINの室内の局面壁は、幅はぎ材に裏表両面からスリットを入れ捻ることによって、美しい三次曲面をつくり出している。

    原理は襖や障子のようにケンドン式で簡単だが、捻ることで生まれる合力や、滑らかな佇まい、開口を設けることによって居場所ができる。

    無駄に意味を持たせることもできるし、無駄にこそ美しさが存在する。

  • 山小屋

    山に安全に登るための装置として山小屋がある。

    日本の山小屋の歴史は、霊山に登って修行する行人(あんじゃ)の「室」や「坊」が始まりと言われている(諸説ある)。

    現存する日本最古の山小屋は、登拝者(とはいしゃ)向けの宿泊施設であった富山県立山の室堂小屋(むろどうこや)だ。

    僕はたくさんの人に山の魅力を伝えるために、山小屋をつくりたい。
    自然と共生できるデザインやつくり方、山の恵みを循環させるエネルギー計画。
    そして、そこに人々が楽しく滞在できるファンクション。

    都市の建築とはまったく違う知識や技術が必要で、だからこそADXの仲間と成し遂げたい、大きな夢だ。

  • 寿命

    建築の寿命は長いが、我々が携わる時間は、建築の寿命に比べてとても短い。

    時間が経つにつれて、つくる時のエネルギーと比べて、建築にかけるエネルギーは大幅に、急激に減っていく。

    結果として、建築は短命に終わることにもなる。
    建築とは未来をつくるものであるにもかかわらず。そうなっている。

  • カブトムシ

    大きな体で大地をブンブン飛び回ることも素晴らしいが、自然の中に住んでいるのにいつもピカピカのボディ。
    あの性質をクルマや建築に使えたらいつもピカピカでいいだろうな。

    バイオフィリックデザイン。

    森を歩くと色々な生き物に出会う。
    いつも僕を驚かせてくれる。

  • 趣味

    趣味はなんですか?
    と聞かれたら真っ先に登山と答えてしまう。

    でも、登山は、僕にとって趣味とは少し違う位置付けにある。
    修行? 試練? それとも?

    日々刺激を受けたものごとを受けて、一歩一歩山を登り、自分の中に落とし込んでいく。
    思考を整理する場所や方法みたいなものでもある。

    今月もたくさんの刺激を頂いたので、ちょっと山まで行こうと思う。

  • 挨拶

    山頂に向かうにつれて移り変わる景色を楽しんでいると、山登り中の見知らぬ人とすれ違いざまに挨拶をする。挨拶している。

    都会にいると、しないのに、山にいると自然としてしまうのはなぜだろう?

    そこには、都市にあるような、目まぐるしくて膨大な情報は落ちてないけれど、縄張りもなければ、渋滞もない(渋滞する山には登りません)。

    みんなの目的がひとつだから思考もシンプル。
    山にはちょうどいい距離感がある。

    それも山のいいところだ。

  • 資源をつなぐ

    建築物は一般的に数十年の耐久性を持つが、その寿命を全うできずに終わることの方が多いだろう。建築が短命に終わる理由は、デザインのトレンドであったり、ビジネスの環境変化による用途の盛衰、家族が巣立ったりと様々だ。建築とは時代を象徴する物差しであるとも言える。我々建築に携わる者はそんなことに目をつむって、ひとつひとつの要件や具体的な欲求に応じて、相当なエネルギーと知恵をかけて、最も適した建築を生み出す。

    SANU CABINは、同じものを作り続ける建築である。もちろん1棟つくる毎に発見や学びがあり、設計・施工の細やかなアップデートは付きものだが、利用者にとって見える範囲では基本的に「同じ形のキャビン」だ。いつも同じ場所にある電気のスイッチや食器は、通い慣れた第2の我が家である安心感と居心地の良さをもたらす。そして、建築が主役にならないからこそ、窓の先の景色の変化に敏感になる。キャビンの特徴でもある局面壁は、幅はぎ材を両面からスリットを入れ“ひねる”ことによって美しい三次局面を作り出した。その滑らかな曲線に導かれて、窓の外の自然へ目を向ける時間を意図的に増やしている。

     

     

    SANU CABINは現在長野県・白樺湖と山梨県・八ヶ岳に完成しているが、これから日本中の自然豊かな場所に展開していく計画である。このキャビンが各地の美しい景色を写し出す装置として機能していくことを期待している。

    この“同じものつくる”という発想、そして、“建築が主役にならないこと”は現代建築において必要な考えなのかもしれないと考えている。調達、設計・施工、運用、そして移設や解体という建築のライフサイクル全体を通して、自然の時間軸にこちら側が合わせる。そして必ず訪れる建築物の終焉を内包して計画する。今日出来上がった建築をどのような形で未来の世代に渡すのか。ゴミとして残すのか、資源として残すのか。

     

    Photo by Timothée Lambrecq

  •  

    僕は山を登るのが好きだ。

    好きになったきっかけは正直覚えてない。

    ただ、福島のオフィスの窓の先には四季折々の山々があり、いつも彼から誘ってくれていた。そろそろ登っておいで、と。

     

     

    世の中には経験しないと分からないことは沢山あるが、登山の魅力もその一つだと思う。

    山頂を目指すことだけが山登りではないとよく言われるが、仮に山頂を一つのゴールとすれば、ほとんどすべての山にはそのゴールに向けていくつもの登り方、アプローチがある。季節や景色はもちろん、誰と登るか、どんな気分かに合わせてコースを選べば、何とも自由で特別な時間をデザインできる。

     

    天気予報を見て、風と雨の行方を知ること。

    用途に合わせてバックパックに詰めるものたち、そして、自分で決めるルート。

    起こりうる未来を想像して準備をする過程から、普段平和な都市生活の中でぼんやりしている“本能“が呼び起こされる。

     

     

    山では信じがたいほど美しい景色に出会うことがある。そんな時僕は、このまましばらくここに留まろうか、いっそ時間が止まってほしいとさえ思う。つまり、欲が出てくる。しかし山はそれほど甘えさせてくれないものだ。

    雲が流れ、日が翳り、冷たい風も吹く。絵画のように完璧だった景色もすぐに移りゆく。山の景色は、感動を与えてくれながらまた、自然の厳しさも教えてくれる。

     

    それがまた山の魅力であり、僕がいつまでも登山に夢中になる理由なのだろう。

     

     

    さて、僕たちが安全に登るための装置として山小屋がある。

    日本における山小屋の歴史は、霊山に登って修行する禅定者の「室」や「坊」が宿泊施設が始まりと言われている(諸説あるようだが)。現存最古の山小屋建築も、登拝者向けの宿泊施設であった館山の室堂小屋である。

     

    僕はたくさんの人に山の魅力を伝えるために、山小屋を作りたい。

    自然と共生できるデザインや作り方、山の恵みを循環させるエネルギー計画、そしてそこに人が楽しく滞在できるファンクション。都市で建築を作るのとは全く違う知識や技術が必要だからこそ、ADXの仲間と成し遂げたい夢だ。

     

     

    さあ、もうすぐ2022年がやってくる。

    また新しい山にアタックしよう。