Project Name
MIRU AMAMI
- Timeline
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2024
- Location
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鹿児島県大島郡龍郷町
- Project Type
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ホテル
- Status
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Completed
奄美の大自然に包まれ、森と共生する独立型ヴィラ
奄美大島の北部エリアに位置する「MIRU AMAMI」は、豊かな自然環境に優しく溶け込みながら、訪れる人々が奄美の自然を存分に五感で感じ取れる場を提供します。その実現のために、環境への配慮した設計を重視しています。
奄美大島には大小約200の集落があり、集落ごとに独特な文化や慣習を残しています。その伝統的な集落文化に敬意を表し、既存の「Sea Village」エリアの13棟と今回新築する「Forest Village」エリアの14棟をそれぞれの集落として表現、同じリゾート内でも趣の異なる滞在を楽しむことができます。また、在来種や奄美の気候に適応する植物を中心とした植物をヴィラの周辺や屋上、テラス等にも植栽を配置し、周囲の自然と一体となった森をつくり出します。この森が、動植物に新たな生息地を提供し生物多様性に寄与することを目指します。
それぞれの宿泊棟は、いくつかの植木鉢を積み重ねていくように構成されています。植物が生い茂った自然の中にうずまるような感覚を味わえるゲストルームです。葉が落ちて、大地に分解されて、やがて新しい命の土台となるように力を再び得て、青い空と海の待つ開けた世界を体験できる場所。このようなイメージのもと、自然の不思議な力が満ちる空間が完成しました。
コルクの壁が奄美のざわめく風の音や波の音を吸収するため、室内には静寂が広がります。サファイヤのような静かな海を室内から眺め、一歩バルコニーへ出ると、突然大きな波の音に包まれます。 また、家具や壁面に丸みを持たせたデザインを取り入れ、空間を分断することなく有機的に流れるような構成に。同時にコリンウッドや炭化コルク、芭蕉和紙、夜光貝など、経年変化も楽しめる自然由来のマテリアルを組み合わせることで、室内でも自然環境に触れるような体験を生み出しました。 さらに、静かで落ち着きのある洞窟のような寝室とは対照的な明るく開放感のある浴室は、奄美の海をイメージしたタイルに天窓からの光が煌めき、滞在者を都会では味わえない非日常へと誘います。
従来のリゾート開発は、森やビーチを切り開く大規模な造成や大量のコンクリートを使った基礎工事、建設現場での大量の廃棄物など自然環境への負荷が小さくありませんでした。一方今回建設したヴィラは従来の開発とは一線を画し、自然環境負荷を最小化したサステナブルな工法で開発を行いました。
ADXでは、3D測量データや土中、水中から採取される生物由来のDNAを調査・分析し、森林地域が持つ多面的な価値を統合的に可視化、評価する「森のカルテ」というアセスメントを行っています。今回の計画時にも3D LiDARを用いた簡易的な調査を実施し、敷地内の地形をデータ化することで最適な配置計画を実現しています。
奄美大島の亜熱帯海洋性気候に適応し、地域固有の生態系に配慮した建築方法を採用。高床式の独立基礎工法や国産針葉樹を使用したバイオ素材のフラン樹脂加工技術、炭化コルクの内装材など、環境負荷の低減と持続可能な資材使用に取り組みました。さらに、シロアリ防除技術を用いることで建物の長期的な保護も図り、よりサステナブルな建築を目指しています。
自然立地での建設施工においては、現地の資材・職人不足を補うために、一定程度遠隔地から材料を運搬したり、技術人材を派遣することが求められます。一方で、現地施工期間が長期化することにより環境負荷も問題視されてきました。そこで本プロジェクトでは、床、壁、天井などの部材をパネルとしてあらかじめ工場で製造し、現場で組み合わせて建築するパネル工法を採用。現地でのヴィラ建設期間を従来工法の1/3である約2ヶ月まで短縮しました。
計画・設計・維持管理段階で検討した環境配慮の取組が実際に効果を発揮しているかを検証するため、長期的なモニタリング調査を実施しています。建築物のライフサイクルでの環境負荷を定量的に評価するLCA(ライフサイクルアセスメント)調査等により、自然環境への影響を定量化・モニタリングします。