
プロジェクトのはじまり
森と都心を繋ぐ。日本取引所グループが社会貢献活動の一環として推進する「東証上場の森」が所在する秋田県由利本荘市矢島地区の木を使用し、無機質なイメージの強い都心の金融街に温かみのある空間を生み出そうと考えました。

プロジェクトの周辺環境について
日本橋兜町は、明治以来、渋沢栄一翁が日本初の証券取引所や銀行を興した地歴を有します。時代時代のイノベーションが起こり、投資家が集い、さまざまな情報が交流する舞台となってきた兜町は、「コト始めの街」として未来へ向かう人々の情熱の起点となってきました。日本橋兜町・茅場町再活性化プロジェクトでは、「人が集い、投資と成長が生まれる街づくり」を街づくりコンセプトに掲げ、「兜町らしさ」の再構築の取り組みが推進されています。


立案したプラン
自然を取り入れた有機的なデザインを提案。ビルの外観を印象付ける4本の柱には、それぞれ1本ずつカブトムシ・トンボ・テントウムシ・バッタの4種類の昆虫の羽のデザインを施しています。これらの模様は、デザインデータとNC加工機を連動し製作した木製型枠にコンクリートを打設し、転写させることで実現しています。従来のコンクリート柱に比べて、表面を有機的で柔らかな表情に仕上がります。さらに、この木製型枠を内装材や館内アートピースに転用し、無駄のない木材活用を目指します。 また、エントランス部分を含む1〜3階部分の梁には、秋田県産の栗の木を丸太のまま使用します。通常、広葉樹の天然乾燥には数年の期間が必要とされますが、改質水と抗火石を使った日本初の木材乾燥機「woodbe(ウッドビー)」を用いて人工乾燥させることで、乾燥期間の大幅な圧縮とコスト削減が可能となります。
ビルの外構をまちの人が集う公共空間として活用することを目的として、1階にオープンテラスを整備します。当社が独自にデザイン・制作した木材のブロック「Kabulock(カブロック)」を組み合わせ、木ならではの温かみがある、親しみやすい形状のウッドテーブル・ベンチを設置します。このオープンテラスは、ワーカーや来街者が読書や食事、待ち合わせなど自由に使うことができ、憩いやにぎわいの空間となります。

今回の新しい挑戦
RC造による3層飛ばしのメガストラクチャーの内側に、3層ごとの木造建築を組み合わせて10階建ての店舗兼オフィスを建設します。建物全体の構造性能はRCメガストラクチャーにより担保し、その中に木造3階建ての建物を自立させます。これにより、建物全体が軽量化され、地震力や基礎等への負担を軽減できることに加え、将来的な増改築が容易になるなど、合理的な構造となっています。 このプロジェクトは、SRC メガストラクチャーと耐火木造の組み合わせたハイブリッド構造を採用した都市型高層建築として、国土交通省「令和 2 年度サステナブル建築物等先導事業(木造先導型)」に採択されています。

使用する素材

屋久杉Kagoshima

杉Akita
